さびしい母がやさしい娘を縛る5つの呪文

◆「呪文」が娘の心に与える影響
しかし、その気持ちが娘にとっては苦しいプレッシャーとなり、娘自身の意志を狂わせてしまいます。
それを言うことが「娘のためになる」と真剣に信じているのです。
もちろん、母は娘を苦しめようとして、こうした言葉を言っているわけではありません。
さびしさから、子育てに執着し、なかでもひときわ思い入れのある娘の人生に干渉し続けてしまうのです。
そのさびしさは、一人の女性として精神的に自立しきれていないことから発せられるものです。
無意識のうちにこうした呪文をつぶやく母は、“さびしさ”を抱えているものです。
しかし、そうした気持ちから娘にかける言葉は、いつしか娘の心のなかで「呪文」としての力を持ち、人生を左右してしまうことが少なくありません。

母にとっては、同じ女性として共感でき、素直に従う娘ほど、分身のようにかわいく思えてしまうものです。

1.「お母さんの言うとおりにしていれば間違いない」
進路や人生設計をすべて「お母さんの言うとおり」にすれば、本当に幸せな一生を送れるのでしょうか? そのとおりにしなければ、不幸になるのでしょうか?

2.「あなたさえいてくれれば、もう何もいらない」
「他の関係をあきらめたのだから、私のそばにいて」という大胆な要求を突きつけています。「親友」や「パートナー」の役割まで担わされる娘の負担は?

3.「お母さんができなったことをあなたにしてほしいの」
人格も興味も能力も違い、生きる時代も違う娘が、なぜ「母のやりたかった夢」を叶えなければならないのでしょうか?

4.「やりたいことを我慢して、あなたを育ててきたのに」
娘が母の希望と違う進路を選んだときなどに、ついてくる言葉。「人生を犠牲」にした母のために、母の希望に添って生きることが正しいのでしょうか?
5.「あなたのためなのよ」
「あれをしなさい」「それはダメよ」などの言葉の後についてくる「あなたのため」は、本当に娘のため? 「母自身のため」と言い換えた方がしっくりきそうです。

◆母の何気ない一言が「呪文」になる
代表的には前の5つの言葉があります。
そんな娘たちが母から受けてきた「呪文」には、どのようなものがあるのでしょう?
娘の人生を支配し干渉する母、娘と密着し、娘の行動に口を出す母――そうした母のもとで育ってきた娘たちには、大人になっても母から受けた「呪文」というプレッシャーから逃れられず、息苦しい人生を送っている人が少なくありません。