医師に思わず「オススメはなんですか?」
薬はどんどん進化しているんですね。
ご多分に漏れず脱毛はしましたが、イメージしていたよりも吐き気は軽く、味覚障害もありません。
でも、「子供が生まれても、君がいなくなったら意味がない」と夫に言われ、4月から半年間の抗がん剤治療を受けました。
毛が抜けるのなんてどうでもいいけれど、子供を産みたいという思いが最後まで決断を鈍らせました。
医師から「抗がん剤は子宮にもダメージがあって、そのまま閉経してしまうかもしれない」と言われたので、本当は嫌だったんです。
ただ、手術より悩んだのは、その後に始まる抗がん剤治療でした。
翌日からは、もう歩いてレントゲン室に行ったり、数日後にはドレーン(排液管)を付けて仕事をしたり、家が近かったので毎日、夕飯を作りに帰ったりもしました。
手術を受けた夜、背中が痛くて何度もナースコールをしたときも、「もしここが野戦病院だったら、ナースコールなんてないんだ」と妄想して、自分の幸せを噛みしめました。
入院は2月下旬。
心が傷つかない方法をいろいろ考えて、そのときは「小学生に戻ったと思えばいいや」と自分を納得させました(笑い)。
右胸がなくなるのは寂しかったですが、ものは考えようです。
悩まなかったといえばウソですけれど、「命か胸か」と言われたら答えはおのずと出ていました。
主治医は「(右乳房)全摘です」と言い、夫も賛成したのでオススメを選択しました。
結局、私が主治医に言えたのは「オススメはなんですか?」という変な質問だけ。
ただ、「温存すれば再発のリスクが残る」とか、再建手術がうんぬんという説明も同時にされたため、それがまるでお経のように感じられて……。
しこりは約3センチと大きかったものの、早期に近かったので乳房は3分の1温存できるとのことでした。
後にリンパ節にも転移していることがわかり、最終的には「ステージⅡB」でした。
結果は「右乳房の乳がんステージⅡA」との診断。